そば打ちに必要な道具が揃ったら、最後に食材を準備する。食材として必要なものは、そば粉、割粉(小麦粉)、打ち粉、そして水。そば粉は、茨城県金砂郷町が日本で最も良質なそばの産地として知られているが、近年では全国各地産の良質なそば粉が生産者が直営するサイトなどで手に入るようになった。
ここでは、そばからどのようにそば粉ができあがるのかについて、少し触れておきたい。
「玄そば」といわれるそばの実を石臼または機械を使って粉にするとそば粉となる。

そば粉には、真っ白な「さらしな粉」や田舎そばのような黒っぽいものまで、いろいろな種類のものがあるが、この違いは製粉するときにどの段階で粉として取り上げるかによって変わってくる。
玄そばの殻だけを取り除いた状態を「丸抜き」というが、殻を取る段階で何割かの実は割れてしまうので割れてしまった実「割れ」と併せて製粉の段階に入る。
この「丸抜き」と「割れ」をそのまま全て粉にすると「挽きぐるみ」といって色の黒っぽいそば粉となる。「挽きぐるみ」で打ったそばは、素朴な味わいではあるが、ツルッとしたそば特有の食感が足りないため、好みが分かれるところだ。
通常の製粉工程では、「丸抜き」と「割れ」を粉砕とふるいをかけることによって、粉になっていく順に「一番粉」、「二番粉」、「三番粉」が製粉されてくる。
そばの実は製粉するときにまず中心の部分から砕けて粉になっていくため、胚乳の中心部分ででんぷん質の多い白っぽい粉「一番粉」から製粉されてくる。
「一番粉」は、そばの香りや風味はあまり感じられないが、ほのかに甘みのあるしっとりとしたそばが打てる。この「一番粉」をさらにふるいにかけて細かくしたものが「さらしな粉」と呼ばれるもので、「打ち粉」と呼ばれるそばがくっつかないようにするための粉として使われたり、茶そばやゆずそばなど混ぜものを打つときなどに利用される。なお、「一番粉」だけでそばを打つときは、非常につながりにくいため、湯をつかってこねる必要がある。
「一番粉」を取ってさらに製粉を進めると、胚乳部分だけでなく胚芽部分も砕けて粉になってくる。これをふるいにかけて取り出したものが「二番粉」である。
「二番粉」は色がうっすらと緑がかり、そばの香りがあり、たんぱく質も10%ほど含まれているので、そば打ちには適した粉となる。
「二番粉」を取った残りを製粉したものが、「三番粉」となる。この段階になると、胚乳、胚芽だけでなく甘皮も含まれてくるので、かなり色が黒っぽくなってくる。
「三番粉」はそばの香りは強いがたんぱく質も15%ほど含まれているので、繊維質が多くなり食感が劣ってくる。
製粉の方法には昔ながらの石臼製粉と機械式のロール製粉があるが、よく耳にするところの石臼製粉はなにが優れているのだろう。 一方、石臼製粉の場合は石臼をゆっくりと回転させて丁寧にそばの実を崩していくためにそばの香りが損なわれることがなく、風味豊かなそば粉が生まれるのである。
本当のそばの風味を楽しみたいなら、「玄そば」からそば殻を取り去ることは少し技術を要するので、「丸抜き」か「割れ」をなんとか手に入れて、自分で石臼を使ってそば粉を作ってみたい。


